サイト「Related Worlds」に関するつぶやき。
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更新情報とおまけ
ええ、報告が遅くなりましたが、フーラス12-……なんだっけ……あ、12-5更新しました。
シルマは「はしたない」の域を超えるくらいに立ち聞きがすぎるんじゃないかとは思いますが、聞こえてしまったものは仕方がないね、ということでおおめにみていただけると嬉しいです、と作者の私が言います。
ブレットとミーメイの二人。私はアレックとシルマの二人の次くらいに来るほどには大好きです。この二人が出てくれると一気に世界に色がつくというか。今後も登場する予定なので、覚えてほしい、と言いたいところですが、正式なプロフィールは当分書きません。登場人物紹介のブレットの紹介文も、あれはひどいなあとわかっています。けど書かない。ごめん、ブレット。
さて、フーラスを読み返すと、我ながら「おいしいやつがいるじゃないか」と思える人物に気づきました。
一週間、シルマの護衛役を仰せつかったあの人です。
今回はおまけと称して、彼のちょっとした日常(…日常でもない)を紹介します。
いつも通りの自己満で、番外編に載せるほどの出来ではないためここにアップ。(→2013/08/25 追記:嘘つきました。上出来なものでないことは変わりありませんが、フーラス番外編に載せております。すみません)
クオリティーなんか求めてないぜ。という方だけ続きをどうぞ。
シルマは「はしたない」の域を超えるくらいに立ち聞きがすぎるんじゃないかとは思いますが、聞こえてしまったものは仕方がないね、ということでおおめにみていただけると嬉しいです、と作者の私が言います。
ブレットとミーメイの二人。私はアレックとシルマの二人の次くらいに来るほどには大好きです。この二人が出てくれると一気に世界に色がつくというか。今後も登場する予定なので、覚えてほしい、と言いたいところですが、正式なプロフィールは当分書きません。登場人物紹介のブレットの紹介文も、あれはひどいなあとわかっています。けど書かない。ごめん、ブレット。
さて、フーラスを読み返すと、我ながら「おいしいやつがいるじゃないか」と思える人物に気づきました。
一週間、シルマの護衛役を仰せつかったあの人です。
今回はおまけと称して、彼のちょっとした日常(…日常でもない)を紹介します。
いつも通りの自己満で、番外編に載せるほどの出来ではないためここにアップ。(→2013/08/25 追記:嘘つきました。上出来なものでないことは変わりありませんが、フーラス番外編に載せております。すみません)
クオリティーなんか求めてないぜ。という方だけ続きをどうぞ。
――そのころ、クアラーク城では……
騎士リアムは執務室から重苦しい足取りで出ると、音を立てずに扉を閉めて、歩を進めた。
ああ、あの王女がまたやってくれた。
陛下と隊長がブライアートへ向かうという時、自分はあの場にいなかったのだが、どうも幾人かの使用人に話を聞けば、シルマ王女も魔法の中に飛び出して行ってしまったのだという。移動魔法は過去にリアムも何度か見たことがあるから、飛び出した王女が隊長らの姿とともに消えたということは、つまり彼女もブライアートへ行ってしまったということだ。ああ、頭を抱えずにはいられない。
副長は、さほどくどくどと苦言を並べるタイプの上司ではないが、こればかりは叱られてもこちらも言い訳の仕様がない。すでに護衛の必要のないシルマ様に、昔のように無意味に付き添う任務はないとはいえ、あの場に自分がいなかったのはよくなかった。
「リアム、お前がいてくれればシルマ様を止められただろうに」
副長はそう言うが、買いかぶりすぎだ。あのおてんばっぷりには、いくら長年彼女についている自分とて、敵うものではない。その行動に危険がなければ、見て見ぬふりをすることもしばしばだ。つい先日の一週間は、ほとんどそんな感じの護衛をしていた。
「そもそも、なぜあの場にいなかった?」
それは召使いに止められていたからだ。
なんでもあのエルメスの姿が見えないとか何とかで、話によれば、駆け落ち?――王女の侍女にそんなことがあるのはゆゆしき事態かもしれないが、我々騎士の管轄でもない。ところが衛兵には内密にしなければ、駆け落ちなどと噂が広まった途端に大騒ぎになってしまうという。たしかに彼女の人気ぶりはリアムもよく知っていた。
「隊長がお帰りになったら、また何と言われることやら」
まったくそのとおりである。
隊長が側にいるなら問題はないだろうと副長は言うが、連絡くらいは取っておくべきかと思い、リアムは魔法使いフィリップの元へ向かった。手紙なら従者に頼むより、せっかく城にフィリップがいるのだから、彼に送ってもらったほうがてっとり早い。
「リアム様、今日は稽古をつけてくれるというお話でしたが」
廊下を歩いてすぐに、見慣れた見習いが声をかけたものの、リアムは足を止めずに言葉だけを返した。
「すまないが、後から行くと他の者にも伝えておいてくれないか」
例の乱闘事件を起こした同僚たちの見習いも、しばらくの間、稽古だけはリアムが面倒を見るようにと隊長の方から指示を受けている。正直、そこまで手はまわりそうにないのだが。
ようやくたどりついた魔法使いの新しい部屋の扉をノックし、返事を受けて開くと、そこにはフィリップの他にもう一人、セリーヌ王女がいた。
「――!」
はっとしてリアムは目線を下げる。
「これは、お話し中のところ大変失礼いたしました」
「いいのよ、こちらこそごめんなさい、リアムさん」
そう言って笑うのはセリーヌ王女。シルマ王女に比べると、姉である彼女の方が理知的で品がある。しかし、その分だけ姉の方が妹よりもはるかに悪知恵が働くというのはリアムもよく知っている事実だ。
「実は、シルマ様のことで――」
言いかけたところで、セリーヌ王女がさえぎった。
「リアムさん、あの子のことならそっとしておいてあげてほしいの」
リアムはわずかに眉をひそませる。セリーヌ王女は続けた。
「ブライアートでお父様やグレアム隊長が一緒なら問題はないでしょう。あの子の思うようにさせてあげられないかしら。私はね、シルマに幸せになってもらいたいのよ。リアムさんなら、わかるでしょう?」
口をつぐんで、ふと、リアムはシルマ王女の護衛をしていた一週間のことを思い出す。セリーヌ王女の言いたいことはわかる。シルマ王女が思い悩んでいたあの、ここにいる彼とは違う、もう一人の魔法使いのことに違いない。
シルマ王女の成長を、リアムはずっと見てきた。あのおてんばには毎度手を焼かれてはいるが、それもささいなかわいいもので、実の娘か妹のように思うからこそ黙認だってしてしまう。
シルマ王女が嫌うように、リアムもまたジェームズ・クリーヴという人間はどうにも好かない。あの気取り屋が彼女の夫になるくらいなら、いっそ彼女が慕うあの魔法使いの方が――と考えてしまうのは悪いことだろうか。
「そもそもフィリップさんは、ブライアートに連絡をしたりしないわ。さっきも話したもの。そうでしょう、フィリップさん?」
セリーヌがフィリップに笑顔を向けたのに合わせて、リアムもじろりと彼を見る。すると魔法使いは怖いものでも見たかのように顔を強張らせながら首を縦に振った。「あ、ああ、もちろん」
「……セリーヌ様がそこまでおっしゃるなら、私もそのようにいたしましょう。そもそも現時点で隊長はシルマ様をこちらへお返しにはなさっていないようですし、副長もその考えのようです」
そう言ってリアムは静かに嘆息すると、結局何もせずに部屋を後にした。――それで、帰ってきた隊長にまたやいやい言われるわけだ、と軽く伸びをして、やれやれとひとり肩をもむ。とりあえずはあと二日、のんびりできると思えば少しは気が楽になるような気もしなくもないから、まあ良しとしよう。
●クアラーク王国兵 騎士リアム
シルマが幼い頃からずっと護衛にあたっていた騎士。
歳は三十代中頃。
その実力は騎士隊の副隊長に次ぐほどである。
騎士リアムは執務室から重苦しい足取りで出ると、音を立てずに扉を閉めて、歩を進めた。
ああ、あの王女がまたやってくれた。
陛下と隊長がブライアートへ向かうという時、自分はあの場にいなかったのだが、どうも幾人かの使用人に話を聞けば、シルマ王女も魔法の中に飛び出して行ってしまったのだという。移動魔法は過去にリアムも何度か見たことがあるから、飛び出した王女が隊長らの姿とともに消えたということは、つまり彼女もブライアートへ行ってしまったということだ。ああ、頭を抱えずにはいられない。
副長は、さほどくどくどと苦言を並べるタイプの上司ではないが、こればかりは叱られてもこちらも言い訳の仕様がない。すでに護衛の必要のないシルマ様に、昔のように無意味に付き添う任務はないとはいえ、あの場に自分がいなかったのはよくなかった。
「リアム、お前がいてくれればシルマ様を止められただろうに」
副長はそう言うが、買いかぶりすぎだ。あのおてんばっぷりには、いくら長年彼女についている自分とて、敵うものではない。その行動に危険がなければ、見て見ぬふりをすることもしばしばだ。つい先日の一週間は、ほとんどそんな感じの護衛をしていた。
「そもそも、なぜあの場にいなかった?」
それは召使いに止められていたからだ。
なんでもあのエルメスの姿が見えないとか何とかで、話によれば、駆け落ち?――王女の侍女にそんなことがあるのはゆゆしき事態かもしれないが、我々騎士の管轄でもない。ところが衛兵には内密にしなければ、駆け落ちなどと噂が広まった途端に大騒ぎになってしまうという。たしかに彼女の人気ぶりはリアムもよく知っていた。
「隊長がお帰りになったら、また何と言われることやら」
まったくそのとおりである。
隊長が側にいるなら問題はないだろうと副長は言うが、連絡くらいは取っておくべきかと思い、リアムは魔法使いフィリップの元へ向かった。手紙なら従者に頼むより、せっかく城にフィリップがいるのだから、彼に送ってもらったほうがてっとり早い。
「リアム様、今日は稽古をつけてくれるというお話でしたが」
廊下を歩いてすぐに、見慣れた見習いが声をかけたものの、リアムは足を止めずに言葉だけを返した。
「すまないが、後から行くと他の者にも伝えておいてくれないか」
例の乱闘事件を起こした同僚たちの見習いも、しばらくの間、稽古だけはリアムが面倒を見るようにと隊長の方から指示を受けている。正直、そこまで手はまわりそうにないのだが。
ようやくたどりついた魔法使いの新しい部屋の扉をノックし、返事を受けて開くと、そこにはフィリップの他にもう一人、セリーヌ王女がいた。
「――!」
はっとしてリアムは目線を下げる。
「これは、お話し中のところ大変失礼いたしました」
「いいのよ、こちらこそごめんなさい、リアムさん」
そう言って笑うのはセリーヌ王女。シルマ王女に比べると、姉である彼女の方が理知的で品がある。しかし、その分だけ姉の方が妹よりもはるかに悪知恵が働くというのはリアムもよく知っている事実だ。
「実は、シルマ様のことで――」
言いかけたところで、セリーヌ王女がさえぎった。
「リアムさん、あの子のことならそっとしておいてあげてほしいの」
リアムはわずかに眉をひそませる。セリーヌ王女は続けた。
「ブライアートでお父様やグレアム隊長が一緒なら問題はないでしょう。あの子の思うようにさせてあげられないかしら。私はね、シルマに幸せになってもらいたいのよ。リアムさんなら、わかるでしょう?」
口をつぐんで、ふと、リアムはシルマ王女の護衛をしていた一週間のことを思い出す。セリーヌ王女の言いたいことはわかる。シルマ王女が思い悩んでいたあの、ここにいる彼とは違う、もう一人の魔法使いのことに違いない。
シルマ王女の成長を、リアムはずっと見てきた。あのおてんばには毎度手を焼かれてはいるが、それもささいなかわいいもので、実の娘か妹のように思うからこそ黙認だってしてしまう。
シルマ王女が嫌うように、リアムもまたジェームズ・クリーヴという人間はどうにも好かない。あの気取り屋が彼女の夫になるくらいなら、いっそ彼女が慕うあの魔法使いの方が――と考えてしまうのは悪いことだろうか。
「そもそもフィリップさんは、ブライアートに連絡をしたりしないわ。さっきも話したもの。そうでしょう、フィリップさん?」
セリーヌがフィリップに笑顔を向けたのに合わせて、リアムもじろりと彼を見る。すると魔法使いは怖いものでも見たかのように顔を強張らせながら首を縦に振った。「あ、ああ、もちろん」
「……セリーヌ様がそこまでおっしゃるなら、私もそのようにいたしましょう。そもそも現時点で隊長はシルマ様をこちらへお返しにはなさっていないようですし、副長もその考えのようです」
そう言ってリアムは静かに嘆息すると、結局何もせずに部屋を後にした。――それで、帰ってきた隊長にまたやいやい言われるわけだ、と軽く伸びをして、やれやれとひとり肩をもむ。とりあえずはあと二日、のんびりできると思えば少しは気が楽になるような気もしなくもないから、まあ良しとしよう。
●クアラーク王国兵 騎士リアム
シルマが幼い頃からずっと護衛にあたっていた騎士。
歳は三十代中頃。
その実力は騎士隊の副隊長に次ぐほどである。
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