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サイト「Related Worlds」に関するつぶやき。
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自負と偏見
先日の7月に、ジェイン・オースティン(小山太一訳)の『自負と偏見』が出版されたということで、以前から気になっていたのもあり、これを機会にその新訳版を読んでみることにしました。

私は他訳者の方々が翻訳した"Pride and Prejudice"を読んだことがないため、一概には言えませんが、新訳ということもあってか、序盤からとても読みやすい文章でした。
事前の情報から、題名からは想像できないおもしろさ、私のだいすきな『あしながおじさん』とも並べて紹介されるほどの恋愛小説、ということは聞いていたので、これはもうぜひ読まなければいけないっ!と思いまして手に取った本なので、はなからお堅いものを想像はしていなかったのですが、たしかに何も知らないひとが単に「自負」やら「偏見」やらの熟語がタイトルにあったなら、私のようなジャンルが好みの読み物好きにはあまり手に取らないタイプなのだろうなと思います。

いえ、でも今回出版された文庫は表紙がすてきなイラストなので、もしそういった事前情報がなくても、私なら表紙で手に取ることはあったかも…(笑)
ちなみに表紙はこちら。

ヒロインは5人姉妹の次女エリザベス。んでもってヒーローはイケメン上流階級、領地持ち豪華屋敷持ちの主ダーシー。
序盤はエリザベスの姉ジェインと、近くに越してきた資産家ビングリーのなかなかの青春っぷりな運命的な出会い話ですが、そこで開かれた舞踏会でのもう一つの出会いが話の主、エリザベスとダーシーです。ダーシーはビングリーの友人としてやってきたのですが、彼がその舞踏会でエリザベスを一目見て放った一言が最高ドタバタ恋愛ものの始まりです。

「ふん、まあ悪くはないな。だが、心が動くほどの美人じゃないね。それに今のところ、僕は他の男に袖にされたお嬢さんと踊って箔をつけてやる気になれないんだ。(略)」(p.19)

この一言を耳にして、賢いエリザベスさん、たいそうお怒りになられました(笑)それからというもの彼女はほとんどこの舞踏会での出会いのシーンをずいぶんと根に持っておられます。

さて、面白いことが始まるのはここから。ちょっと長いけど引用させていただきます。

 ミスター・ビングリーが姉にどれほど恋心を抱いているかを観察するのに忙しかったので、エリザベスは自分自身がミスター・ダーシーの関心を惹いていることにちっとも気づいていなかった。最初のうち、ミスター・ダーシーはエリザベスが美人などと認める気はさらさらなかった。舞踏会で見たときも感心しなかったし、次に会ったときはあら捜しのために目をやっただけだった。ところが、あの娘の顔立ちには何の取り柄もないと決めつけ、連れにも公言したその瞬間、表情豊かな黒い瞳のせいでエリザベスの顔がひどく知的に見えることを彼は発見してしまったのである。いったんそう気づくと、彼の自尊心にとって不都合な美点が次々と見つかってきた。批判的に見ていたときには均整をそこねるような欠点がいろいろ目についたものだが、今となってはエリザベスの姿が軽やかで気持ちいいことは認めるほかなかったし、立ち居振る舞いが上流の令嬢のものではないと自分に言い聞かせても、彼女の屈託のなさ、いたずらっぽさには惹かれてしまうのだ。ところが、当のエリザベスはそんなことなど全く知らなかった。――彼女にとってダーシーとは、いつでも不愉快そのものの男、自分のことを「踊りたいほど美人じゃない」と言い放った男だったのだ。(p.38)

もう、もうおわかりでしょう!!
ダーシーさん、これがあってからというもの、エリザベスにますます惹かれていってしまうのです。

さて、ここからがこの小説のタイトルが"Pride and Prejudice"(自負と偏見)でなければならない大事な流れ。
上記のとおり、ダーシーはとんでもない上流階級。生まれが生まれなだけに、誇り高い部分を持っているので、本当の彼を知らない人たちからはたいそう気位が高く見られます。(彼自身が、低い階級に対してぞんざいな態度をしているというのもある。)
5人姉妹の母もそうですが、エリザベスなんかは最初が最初だったので、えらくダーシーを嫌い続けるのです。
おかげで二人のすれ違いっぷりがたまらない!

このすれ違いは、実際に読んでもらってにやにやしてもらうしかないんですが、最後はちゃあんと丸くおさまるのでご安心ください。

この話が200年も前に作られたものとは思えないほどのキュンキュンものです。
イギリスが舞台の、貴族社会、「紳士ならびに淑女のみなさま」――な時代の話なので、恋愛に関してもちゃんとマナーにのっとって描かれています。女性は貞操を守らなければならない、そういった意識がきちんとある時代。
ひとつ駆け落ちなどという事件(5女のリディアの話)が生じるととんでもない騒ぎになります。私はこのあたりよくわかっていなかったので、駆け落ちした女性側の家族がなぜ決闘してまで相手の男に結婚するように求めるのか不思議でした。
「駆け落ち=家名に大きく傷が付く行為」というものが、なんとなくでしか理解できていないので、もっと勉強が必要ですね。

話がそれましたが、リディアの件はおいといても、ダーシーやビングリーはそれぞれ相手の女性や家族にたいしてちゃんとした手順を踏んでいるので、私はやっぱり現代恋愛小説よりずっとこういった時代の恋愛小説のほうが好きだなあと思うのです。

まあ、これも偏見なのかもしれませんが。 

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『ローン・レンジャー』
8月になっちやいやしたね。
去年に引き続き、今年もお盆休みとやらがないフラグが立っちやいやしたので、三連休のない今月は愚痴吐きまくりでお送りしたいと思いやす。
(去年の8月は自分の好きな事選んだ結果お盆休みがなくなったので、それはそれでよかったのですが、今年は完璧に仕事です。ぷりーず、さまーばけーしょん)


ところで、今年は吉田ケイさまの「オンライン文化祭2013・帰」に参加させていただこうかとたくらんでおります。ただ、すでに草稿はできあがっているのですが、これを妥協点にまで(満足するまでとはいわない)改稿していけるかが問題なので、まだ参加の有無は確実に決まっていません。その辺り、追って連絡いたします。


さて、続きは映画『ローン・レンジャー』の感想です。例によってネタバレ全開なのでご注意を。
(そういや『風立ちぬ』の感想書いてないなあ)
 
チャーメインと魔法の家
ついに!ついに、私が何年も何年も待ち望んでいたハウルの動く城3が発売となりました。
(ほんとうは、発売日当日に手に入れるはずだったのが、ネット予約で店頭受け取りにしており、発着の時間を計算しなかったために発売日翌日の受け取りになってしまいましたが…)

でもって、お気に入りの物語を手に入れたらひと息に読んでしまうのが私のクセでありまして、もちろん、4時間超の残業のあとでも例外はありません。0時頃に読み始めた『チャーメインと魔法の家』。読み終わって本を閉じたのは、すでにおひさまがのぼった4時過ぎでした。

さて、以下は感想となります。
これから読み始める方をがっかりさせるわけにもいかないので、以下折り畳みより、テンションのまま綴ったわたくしめの感想なんぞを読みたいという方がおりましたら、薄い色をつけておりますので反転をお願いいたします。


 
英国マザーグース物語

 
おひさしぶりです。
いつも拍手・ランクリありがとうございます!
もうすぐフーラスも10000hit。なにか感謝の気持ちを込めてお送りできたらいいんですけれど。短編とかおあそびとかね。
「これなんかどう?」とか、もしあれば連絡お待ちしています。はい、あの、できるだけ善処いたします。
でもあれか。本編早く更新しろって話ですかね。
フーラスは(おそらく)もうすぐ更新予定です。

さてさて、また感想です。感想ばっかり申しわけない!

今回は久賀理世さんの『英国マザーグース物語』シリーズです。最新作3巻「哀しみのロイヤル・ウエディング」が発売されたのでさっそく。
ネタバレしているので、やめてくれって方と、あんたの感想なんか読みたかないよって方はここでくるっとリターンしてください。







 
 
ちくたくぼんぼん

感想ばっかり書いてるけど、軽く読み流してくださいな。

勝田文さんの『ちくたくぼんぼん』を全三巻一気読みしてしまいました。

勝田さんと言えば『Daddy Long Legs』!
あしながおじさんは私が大好きな海外古典作品なのですが、それをあしながおじさんの視点で描いてしまう斬新さに惚れました。しかも昭和初期の日本を舞台ときた!
ツイッターでフォロワーさんがたと話していたりしても、勝田さんの作品には外れがなさそうだったので、そんでもってぱらぱらーと見た感じ、『ちくたくぼんぼん』も昭和初期の設定で、私の好きなタイプの物語のようだったので手に入れました。(中古ですがね!)
私の好きなタイプの物語っていうのは…なんでしょうね。
うーん、たとえば、ヒーローになにかとからかわれるヒロインの、なんかちょっと他の女の子とズレてるところとか。でもまずは何と言ってもあれですね、少女向けならではの「ヒーローのかっこよさ」が一番かな。
とはいえですよ!たんなるイケメンくんじゃないんです。
『ちくたくぼんぼん』のヒーロー、三五の設定がまあ、私の求めてるヒーローど真ん中一直線。
生まれつき病弱で、頭脳優秀。時計に関しての愛着は人一倍。笑顔が得意なひねくれ者で、ヒロインのイワちゃんをからかって、返ってくる反応が楽しくて仕方がない。自分からアプローチはできるけど、予想外に相手からかけられると動揺しまくり……なーんておいしいんでしょう!
三巻という冊数にしてはそれほど登場人物が多いわけではない上に、みんな良い個性を持っているので作品に対する好感度はさらに上増しです。イワのいとこ、都一さまの性格がまたなんとも高飛車でイイです。
昭和初期という設定もあって、イラストはどこかレトロチックなのもステキだと思います。

作品の感想というよりは、紹介に近い文になりましたが、ハッピーエンドが好きな方にはオススメなのでぜひ読んでみてください('∀')


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